私の父は解剖されました。ー死体解剖保存法・東京都監察医務院との闘いの記録

 どうも、普段は経済ネタを書いている「えらいてんちょう」と申します。今回は、皆さんの身にも起こりうるかもしれないことですので「もしも」の際にお役に立てればと思います。


 【私の父は解剖されました】

 私の父は医者嫌いで、ガンで2013年に亡くなりました。医者にかかっていなかったものだから、手続き上警察にも連絡しなければなりませんでした。当然、事件性がないことはすぐわかっていただけましたが「死因を特定するために解剖しなければならない」というのです。
 監察医といって、東京都の職員であるところの医師(東京都監察医務院)が説明します。
 死体解剖保存法に基づき、遺族の同意がなくても死因不明の遺体は解剖しなければならないし、する権利がある。これは医学の発展のためである。
 私の父も母も宗教を持っておりませんでしたが、しかるべく埋葬する前に、遺体を開腹し、頭がい骨を切り裂き、脳を含む臓器を摘出することに対してよい感情をもつ遺族がどれだけあるでしょうか。東京都監察医務院は、父を亡くして落胆する我々にさらに追い打ちをかけました。なすすべもなく進む手続き、還らない遺体。事件で殺され、その犯人を特定するためというならやむを得ないにせよ、「医学の発展のため」という理由で頭がい骨にメスを入れられる父親。それを黙ってみているしかない私たち遺族。「守ってあげられなくてごめんなさい」と、切り刻まれた父の遺体を目にした母は泣いていました

 【行政訴訟と臓器の返還】

 私の父は医者嫌いで、国家権力嫌いでもありました。到底、国がいうところの「医学の発展」に資することも本意ではないだろう、そのように考えた私たちは、すでに解剖され監察医務院に保存されている父の臓器を取り戻して一緒に火葬したいと考えました。乏しい法律知識を用いて、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟、仮差し止めの請求、国家賠償請求をすることにしました。そもそも、死体解剖保存法の7条には「死体の解剖をしようとする者は、その遺族の承諾を受けなければならない。」とあるにもかかわらず、例外規定である「特定の地域の都道府県知事は、域内における伝染病・中毒・災害により死亡した疑いのある死体、死因が判明しない死体について、死因を明らかにするため監察医を置き、検案・解剖させることができる。」という規定に基づいて、「特定都道府県知事」である都知事の許可がある、という理由で解剖を強行しました。これは条文を曲解しており違法だ、ということ。
 東京都監察医務院に「訴訟を提起したので差し止めを請求する」というと、すぐに態度が代わり、じゃあ返します、ということになり、その日中に父の遺体は返還されました。じゃあってなんだ?舐めてんのか?

 【特定の地域で自宅死すれば、行政解剖の対象となる】

 この痛ましい経験が、不幸にも役に立ったことがあります。友人の子どもが、0歳で突然死したときのことです。「事件」を疑う警察、消耗し憔悴する友人、「行政解剖」を強行しようとする監察医。すべてがあのときと同じで、友人は当然、子の監察を拒んでいました。すぐに電話で、行政事件訴訟法に基づく取消訴訟及び仮差し止めの請求をするため解剖をとめろ、と伝えましたところ、解剖される、という、まさに遺体にムチを打つ最悪中の最悪の事態は避けることができました。幼子の死は耐えがたい悲しみですが、それに国家が追い打ちをかける自体は、この知識で避けることができました。
 死体解剖保存法による「特定地域」とは、東京23区、横浜市、大阪市、神戸市、福岡市ほかが制定されております。要するに、これらの場所で自宅死した人間に関しては、強制的に解剖されてしまう、ということを意味しています。これらの地域は予算があるのでできる、ということらしい。死んだ人間に法の下の平等はありません。解剖が嫌なら、それ以外の地域で死にましょうってことでしょうか?ふざけるのも大概にしてほしい。

 【人間は生き返ることがある。そのために通夜がある】

 突然、何を言い出すのかと思われるかもしれません。私は、通夜という風習には合理性があり、それは生きている人間を埋葬しないためではないか、と考えているのです。
 医学が発展したいまでは考えにくいことでもありますが、「早すぎた埋葬」は19世紀まではよくあったことでした。20世紀でも全くなかったとはいえないでしょう。では、21世紀ではどうなのか。
 「墓地、埋葬等に関する法律」3条には、このような記載があります。「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。」要するに、死亡診断から24時間以内には火葬してはならないという規定です。これも、死亡を決定するのが医師にゆだねられていることから、犯罪その他捜査上の必要などを勘案しても、「早すぎた埋葬」を回避するための要素がある規定であることは間違いありません。
 通夜とは、そのひとが確かに死んでいることを、近親者が確認する機会であり、それを納得しながら徐々に「弔い」に心を移していく、人間に普遍的な祈りの行為であると考えます。その人が失われてしまった、そのことを、社会的・個人的に家族が納得していく、非常に重要な時間なのです。それを、東京都監察医務院は全面的に奪いました。もちろん本当にそう思っているわけではありませんが、「父は本当は生きていたが、解剖手術により死んでしまったのではないか」という疑念を挟む余地もあります。それだけ、通夜を奪われ、故人の身体を痛めつけられた怒りは大きいものなのです。

 【まとめ:悪法の廃案と、いざというときの対処を】

 死体解剖保存法は、まさに死体にムチ打つ天下の悪法です。故人の尊厳を踏みにじり、遺族の弔いのために最も重要な時間を奪います。事件性にかかわらず、「医学の発展のため」に強制的に遺体を解剖していいわけがない。ぜひ、これを見ている良心ある政治家の方、この法律を廃案にしてください。これが私のロビー活動です。
 家族が自宅死して、行政解剖されそうになっている皆さん。諦めないでください。行政事件訴訟法を提起してください。詳しい弁護士は少ないと思いますが、このブログを見せれば話の流れをわかってもらえると思います。自分ひとりでも、することはできます。裁判所の職員の方が親切に教えてくれました。解剖されてからでは遅いです。なんとしても、大切なひとの身体を「医学の発展のため」になんて使わせないでください。それは、自分の遺体を医学の発展に使ってもいいよ、というひとがやるべきことです。どうか、諦めないでください。連絡をください。

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